援助行動
Helping behavior
今回の援助行動では、定義や、生起過程、援助行動の心理学的基盤の説についてお話しします。
- 定義
- 生起過程
- 援助行動の心理学的基盤
この順でお話しします。
定義
援助行動について、二つの定義を用意しました。
「ある人が困っているとき、多少の犠牲を払ってでも、その人に助力するという行為」
「人物A,Bがいたとき、Bが自らの力では克服できそうもないような困難な状況に陥ったり、あるいはそのまま放っておけばそのような状態に陥ってしまいそうな場合に、Bがその状態を避けたり、そこから抜け出したりすることができるように、Aが多少の損失を被ることは覚悟のうえでBに力を貸す行為。」(中村 1987)
この二つに共通するのは、援助を行う側が多少なりとも損失を被る覚悟があるうえでの行動であることです。
ここはポイントですので、記述で出てきた際はここは書きたいところですね。
生起過程
援助行動の生起過程についての表がありますのでそれを見ていきましょう。
この図を参照してください。
この図によると、援助の必要性、自分の責任、援助の損得価値、援助方法の知識、これらがそろって初めて援助行動は行われるとしています。
援助行動の心理学的基盤となる説
援助行動は、行為者本人が損害を被る可能性があるにもかかわらず、行われますよね。
なぜ自分に損害を被るリスクを背負ってでも援助行動は行われるのでしょうか。
その心理学的基盤についての諸理論を今回は二つ紹介します。
社会的交換理論(Homans,1974)
この理論によると、人間は基本的に利己的である、という前提に立っており、人は他者との相互作用から生じる報酬(Reward)を最大に、コストを最小にしようと動機づけられる、利得最大化原理が働くと考えています。
この原理に基づけば、援助に伴う外的・内的報酬が大きいほど、そしてコストが小さいほど援助行動が起こりやすい、ということです。
『ホーマンズの社会的交換理論』、『利得最大化原理』は覚えておきましょう。
社会的規範
二つ目は社会的規範です。
この言葉だけで大体わかると思いますが、少し詳しく見ていきます。
社会的規範とは、集団内での適切な行動の仕方について、メンバー間で共有された規範のことです。
この用語は幅広い分野で用いられますが、援助行動に関係する社会的規範について四つ紹介します。
- 贈与規範(norm of giving)
- 互恵性規範(norm of reciprocity)
- 社会的責任性規範(norm of social responsibility)
- 社会的公正規範(norm of social justice)
上二つは大体イメージできると思うのでした二つについて説明しますね。
社会的責任性規範とは、我々に依存している人に対しては援助の手を差し伸べるべきという規範です。
社会的公正規範とは公正、公平ではないと感じられる事態において、公正にすべく働きかけを行うべきという規範です。
これらの規範が顕在化しているような場面や、それらの規範を自分の価値観として強く内面化している人ほど援助行動が出やすいそうです。
公務員になって人の役に立ちたい、社会の役に立ちたいと思い、自分の大切な時間を公務員試験の勉強に捧げる人もそれなりの規範が内在化されているのかもしれませんね。
以上で援助行動については終わりです。
援助行動に関連するものといえば、『責任の分散』や援助行動に関する実験も行われています。それはまた別の記事でお話ししていきたいと思います。お疲れ様でした。