観察法
観察法とは
観察法とは、行動を観察・記録・分析し、その行動の質的・量的特徴や、背後にある法則性を解明する技法です。
位置づけ
観察法の位置づけとしては、心理学研究法の手法の一つです。観察法のほかに、面接法、実験法などがあります。臨床心理士の代表業務の一つ、『臨床心理学的援助』の中で用いられる心理学的アセスメントの技法の一つでもあります。その場合は、面接法、観察法、検査法の三種類に分けられます。
そのため、観察法は、観察することによって様々なことを分析するために用いられる技法の総称だと考えてもらえるといいと思います。
ちなみに、このテーマは公務員試験ではあまり出ませんが、サラッと理解しておくと、いざ出たときに簡単に対処できるとは思います。
観察法は、1970年代から再注目されているそうです。
その背景として、研究において、生態学的妥当性を高める傾向が強まったこと、行動の質的な面の把握が見直されたこと、行動記録や解析のためのツールが進歩したこと、などが挙げられます。
特徴
長所
対象者への拘束が少ない
⇒日常の自然な行動を対象とすることができる。
⇒ゆえに言語発達の未成熟な乳幼児、障がい児、動物まで対象とすることができる。
短所
・観察対象となる行動が出現するのを待つ必要がある。
⇒時間がかかる
・出現する行動は、人前で行われる行動に限定される。
・観察の視点や解釈が観察者の技量に依存する、主観的になりやすい
・統制の困難さ
分類
・自然観察法:操作を加えず、ありのままを観察する。
・実験的観察法:観察したい行動が出現する場面を作り出す。
⇒例:ストレンジシチュエーション法
自然観察法は、観察法の長所“自然な行動の観察”を重視した方法ですね。それに対して、実験的観察法は短所である“統制の困難さ”を軽減し、“時間がかかる”という短所をも軽減した方法です。
・非参加観察:行動を、その場に参加することなく観察する方法です。
⇒ワンウェイミラーやビデオカメラでっ観察する方法がこれに含まれます。
・参加観察:参与観察ともいわれます。その場に居合わせて観察する方法です。
⇒あらかじめしっかりとラポールを形成し、生活場面に入ります。ただ、この参与度はそれぞれで、あくまでも観察者としてその場にいるのか、参加者の一員という位置づけでいるのかによっても変わってきます。
技法の種類
・日誌法:特定の対象者が日常生活で示すエピソードを観察します。
⇒行動を含む全体的な発達過程を捉えられます。
・逸話記録法:複数の対象の一般的な行動や言語を観察する方法です。
⇒行動の質的特徴の解明に有効です。
・場面見本法:対象となる行動が生じやすい場面を選んで、その場面での行動のすべてを観察する方法です。
・行動見本法:その場の特定の行動に注目し、生起要因や過程を分析します。
・時間見本法:行動を任意の時間間隔で区切って、その間における特定の行動の生起を記録します。タイムサンプリング法とか言われることもあるみたいです。
⇒特定行動の生起頻度や持続時間などの量的測度を得るために使われます。
⇒時間を区切る為、対象外の時間の特定行動はカウントできなかったりといった短所もあります。
・評定尺度法:一定時間に対象者が示した行動の強度やその印象を、形容詞などの連続尺度上で評定する方法。
⇒観察者の主観が入り込みやすいですが、質的な情報を量的な情報に変換して分析することができるようになります。
観察法を行うにあたっての留意点
信頼性と妥当性の確保
⇒これは何においても重要ではありますが、観察法では特に、観察対象によっては生活場面を覗くことになります。そのため、観察者だけでなく、観察される側の負担も大きいため、一度で的確な情報を得られるようにより一層気を付けなければなりません。
対象となる行動の分類カテゴリーを明確にする。
⇒どのラインから対象行動が生起した、と仮定するのか、その行動がどの分類にカテゴリー化されるかなどを事前に決めておく必要があります。
観察者を十分に訓練する
⇒観察法は、観察者の技量や熟練度によって、大きく差が出る手法です。そのため、観察者の経験はとても重要な要素となります。
複数の観察者による観察結果の一致度を検討する
⇒観察者の主観を避ける方法の一つとして、観察者を一人にせず、複数人で観察し、その結果の値を全員で共有し検討する方法があります。
対象となる現象をその観察がどの程度正確に反映しているかを検討する
⇒観察者の結果から、その結果がどれだけ正しいかを検討します。
観察法についてはこれで以上です。
さらっと聞いたことあるなあ、程度に頭に入れておけばいいと思います。お疲れ様でした。