感情先行説
Zajonc
この説は、感情について、認知的視点から展開された理論の一つで、ザイアンスによって提唱された理論です。
ますこの理論の前提的な考え方について紹介します。
・Lazarusの認知先行説に対する批判として提唱された
・情動は、認知の関与がなくても生起しうる
・情動と認知は別個の、あるいは部分的に独立した系(システム)を成している。
以上のことから、認知先行説の反証として“感情先行説”と名付けられました。
ということですが、感情が認知に先行する!と声を挙げているわけではないんですね。それぞれが独立しているため、先行することもあるよ、みたいな感じです。
それでは早速ですが、実験をご紹介します。
〈実験〉
手続き
・10枚の8角形の図形をプロジェクタで1m秒呈示(知覚できないほどの速さで呈示します。ので閾下知覚ということになります。)
⇒10種類の刺激をそれぞれ5回ずつ呈示します。
・呈示した10種類の刺激と、呈示していない新刺激10種類をペアにして1secの呈示時間でランダムに呈示した。
・その後2つの質問
⇒・選好:どちらの図形が好きかを問う
・再認:どちらの図形がさっき呈示されたかを問う
この質問の答えについて、“確信がある”、“半分ある”、“ない”の3件法で答えさせる。
結果
この結果から、一度見たかどうかという記憶が曖昧であっても、好きかどうかと聞かれると自信を持って好きと答える、ということが分かります。
これは、頭の記憶と生起された感情には独立したシステムが存在していることが示唆されます。
ちなみにこの理論の反証として、Bornstein(1992)は誤帰属を挙げています。
この理論についてはこの辺で。
ついでに一つ、感情についての理論を紹介しますね。
感情の血流理論
vascular theory of emotion (1989)
感情経験は、顔面筋などの活動によって引き起こされる、脳内血管系の温度変化によるという理論です。
例えば、幸福などの快感情は、血液温度を下げる、怒りや悲しみなどは、血液温度を上げる、などです。
これは逆も成り立つそうです。血液温度が低いと快感情の生起、血液温度が高いと不快感情を経験する、とのことです。
そこまで頻出ではないと思うので、なんとなく理解しておけばいいと思います。
これで感情先行説の説明は以上です。
感情についての他の理論は『感情』の記事からとべるようにしておこうと思っておりますので、もうしばらくお待ちください。