機能的固着
functional fixedness
Duncker, K. (1945)
今回は、機能的固着についてです。ドゥンカーが提唱しました。簡単な定義の後に、さらっと有名な問題を紹介しようと思います。
定義
機能的固着とは、過去経験が問題解決の生産性に及ぼす抑制的な効果を説明する概念です。
現在必要な機能とは異なった機能がものに与えられていると、必要な機能を利用した適切な問題解決が妨げられること
Duncker
要するに、下敷きはノートの下に敷くもの、として我々は認識していますが、直線を書くための道具としても使えるわけですよね。ですが下敷きとしての道具の使い方に固着してしまい、直線を書くために使う道具としては思いつかない、みたいな感じです。厳密に言うともう少し条件が必要ですが。
問題解決において、柔軟な発想・思考を妨害する要素とされています。
それではこれに関する有名な問題を紹介します。
Dunckerの箱問題
ここでの課題は、“ドアの目の高さにロウソクを取り付けること”です。3本の小さいロウソクです。
実験群は、事前利用条件です。
- 箱に入ったロウソク3本
- 箱に入ったピン
- 箱に入ったマッチ
統制群は、非事前利用条件です。
- 箱3つ
- ロウソク3本
- ピン
- マッチ
イラストにするとこんな感じです↓左が実験群、右が統制群です。
結果、この問題をクリアした人は、実験群で58.2%、統制群で97.1%だったようです。
この結果から、事前利用によって、ある機能が固着され、台としての箱の機能という別の機能の再定式化をすることが妨げられる、ということができます。
ちなみに正解は、箱を反対にして、画鋲でドアにくっつけます。箱の底を台代わりにし、マッチをそこに立てる、というものでした。結構難しいと思うのですが…。
Meyerの2本のヒモ問題
この問題は、ある部屋に連れてこられた被験者に、天井からぶら下がっている2本のヒモを同時に掴んでもらう、というものです。
その部屋には、椅子やペンチ、紙などが置いてあります。このような感じです。下手ですいません。
ちなみにこの正解は、片方のヒモにペンチを結び、おもりのようにして振り子のようにし、キャッチすることで解決することができます。
ですが、この状況では、まず初めに椅子を用いて試みる被験者が多く、この実験からは、機能的固着が起こりやすい場面がある、ということが提唱されました。
以上で機能的固着については終わりです。この概念は頻出ですので、覚えておきましょう。お疲れ様でした。