心理学研究法

心理学,心理学研究法GTA,KJ法,ナラティブ研究,個性記述的研究,実験法,治療効果研究,法則定立的研究,観察法,調査法,質的研究,量的研究,面接法

今回は研究法についてです。心理学における研究法は、心理学を他の社会諸科学と区別する最大の特徴です。

研究を行う種類としていくつかに分けられますが、そのうちの量的、質的研究についての説明をします。また、研究法の中でもうまく他の分野にも当てはまらない用語について扱います。まずは心理学研究法の主な研究法をご紹介します。

四大研究法

実験法実験室など限りなく条件が統制された状態で行う方法です。

調査法アンケート用紙を配って行ったり、電話をかけて行う方法です。

観察法:被験者の行動を一定時間観察し、反応をチェックする方法です。

面接法面接室などで、主に被験者と一対一で対話をしながら行う方法です。

次に、収集されるデータによって分類します。

量的研究

 これは、数量化されたデータを用いる研究の総称です。

 実験法であれば、被験者や被験体の反応の出現回数であったり、反応時間、テストの得点等がこれにあたります。

仮説検証的なアプローチ(本当にこの仮説が正しいのかを客観的に証明するアプローチ)にむいています。というのも、統計的方法と親和性が高い為です。客観的に証明するには、数字を用いた統計的なデータがやりやすいからですね!

また、論理実証主義の考え方に基づいています。

質的研究

 これは、数量化されない、質的データを用いる研究の総称です。

 アンケートの自由記述、インタビューや会話データ等がこれにあたります。

 仮説生成的なアプローチ(事例を集め、仮説を立てるアプローチ)に向いています。

(これはKJ法、GTA、ディスコース分析などと親和性が高いです。)

 観察される事実の背後に仮定される意味に注目します。

 ※背後、とは、必ずしも表面的な結果が因果関係と結びついているとは言えないためです。

 社会構成主義の考え方に基づきます。

治療効果研究

これは、ある一つの心理療法によって、ある症状が実際に改善するかを調べる研究の総称です。そのためこの用語は心理学の中でも主に臨床心理学で使われることが多いです。下に治療効果を研究する方法を階層にして表しています。上の階層ほど厳密な方法で条件を統制して行うため、上に行くほど客観性は高く、さらに結論の確実性も高くなります。

治療効果研究

個性記述的研究・法則定立的研究

これは、研究の内容、目的についての視点からみた研究分類です。

個性記述的研究;独自的なものの理解を目指します。そのため、事例研究はこちらに分類されます。

法則定立的研究;普遍的なものの説明を目指します。多くの一般的な理論の説明などのための研究です。

そのほか、様々な研究法がありますので、簡単に紹介します。

その他の研究法

KJ法:川喜田二郎先生による研究法です。多量の情報を効率よくまとめる方法。1枚の紙に1枚の情報を書き、似たものをグループ化ラベル付けして、関係性を見つける、というものです。模造紙のような大きい紙に、付箋に書いた情報をペタペタと貼っていき、全情報を見える化してからグループ分けをすることが多いようです。

構成としては、「データのカード化」→グループ編成→図解化、叙述化 という流れでまとめていきます。

ナラティブ研究:人々の「語り」を研究する、量的研究です。語り自体は質的研究に入りますが、それを量的に研究するのがこの研究方法です。

テキストマイニング:文字列を対象としたデータ分析です。ナラティブ研究で使われることが多いです。

GTA(グラウンデッド・セオリー・アプローチ):グレイザーとストラウスによる研究法です。

 データの読み込み、事象の意味の最小単位への切片化、理論的比較、理論的サンプリングなどによる、仮説生成を理論的飽和に至るまで繰り返すものです。

 つまり、事象について、できる限り細かくして、比較したり見本化したりし、それをひたすら繰り返す研究法です。結構大変です。ちなみに、修正版も出ており、修正版GTAは木下康仁先生により考案され、ここでは切片化は行わないようです。

 この研究法はたまに引っかけで択一問題に出題されますので、修正版は切片化を行わない!はキーワードとして覚えておくことが望ましいでしょう。

 今回の研究法については、ここで終了です。そのほかの研究法について、まだまだ紹介しきれていませんが、発達心理学でよく扱われている研究法については、改めて別記事を用意していますので、『研究法(発達心理学)』を参照いただければと思います。そこでは横断的・縦断的・コホート分析について主に紹介しています。それでは、お疲れ様でした。