覚醒
今回の覚醒では、重要な用語をいくつか説明します。
生理心理学は私自身とても苦手で、できる限り避けて通りたい分野でもあるので、重要かつ簡単な用語の説明にとどめるつもりです。頑張っていきましょう
覚醒の神経機構
脳幹網様体賦活系(RAS: Reticular activation system)
ここは脳の覚醒を維持する神経機構(覚醒系)に関する働きを司る系です。
脳幹網様体は、感覚入力を受け取り、視床を経て、大脳皮質の広範な部位に投射しています。
また、下位脳幹の中心部領域に神経線維が網目状に走っているため、網様体と呼ばれているそうです。これは覚えなくていいけど、名前が覚えやすくなるための豆知識だと思っておいてください。
Mogoun, H. W. & Moruzzi, G. (1949)
覚醒状態の維持に網様体賦活系が重要な働きをしていることを明らかにした人物です。
- 脳幹網様体(brain stem reticular formation)の電気刺激が脳波上も行動上でも動物を覚醒させる
- この部位の破壊によって昏睡状態が生じる
上向性経路
特殊視床投射系
各感覚神経の感覚伝導路
視床の特殊核を介して大脳皮質のそれぞれの感覚野へ到達
非特殊視床投射系
これが脳幹網様体賦活系を指します。
感覚伝導路の下位脳幹部における側枝空のインパルスが視床の非特殊核を介して広範囲の大脳皮質に投射
正直この二種は生理心理学の中でもあまり出ないと思うので、サラッと目を通しておけばいいかと思います。この記事では軽くしか扱いませんので、興味のある方は調べて見てください。
脳幹網様体が種々のインパルスによって賦活され、それによって広い範囲の大脳皮質(とくに連合野)が賦活され、その結果覚醒水準が上昇する、という仕組みだそうです。
脳波パターン
α波の発見(Berger, H.)(1929)
α波とは四種類の覚醒水準の一つの脳波です。この脳波の発見が覚醒研究に大きく貢献しています。
1930年代、脳波の記録が脳の研究に導入され、睡眠・覚醒の変化を客観的に示すことが可能になりました。
脳波の測定方法
この図を用いて説明させていただきます。
100nV程度の微弱な脳波が頭皮上(A)に装着された電極から導出線を通して電極箱(B)に導かれます。さらに電極箱(B)から脳波計(C)に導かれ、約100万~200万倍に増幅されて、記録器(D)によって紙上にペンで記録される、という流れになっています。
覚醒水準と脳波
覚醒水準ないし睡眠は脳波を主とするポリグラフィ的手法(Cz、EOG、EMG)により測定されます。
ここは頻出ですので、特に脳波がどう書かれているかと脳波の種類はセットで覚えておく必要があります。
軽く付け足しておくと、δ(デルタ)波は簡単に言うと、爆睡。θ(シータ)波は寝はじめとかに当たります。寝てはいるけど、どこかで周囲の声がうっすら聞こえている、というような経験があるでしょうか?そのような状態ですね。α(アルファ)波は覚醒閉眼時を指します。起きてるけど目を閉じている状態です。起きてはいようと、眼を閉じるだけで脳波は変化することが分かりますね。そして最後にβ(ベータ)波は、覚醒開眼時です。
ヤーキーズ・ドットソンの法則
Yerkes-Dadson
この法則は、正常な精神活動にはある程度の覚醒水準が維持される必要がある、ということを示した法則です。
覚醒水準が高くなるにつれて、精神活動の効率が高まるが、高くなりすぎると精神活動の効率は、逆に低下する、という法則です。
この法則自体はあまり頻出ではありませんが、考え方は頭に入れておくと、その他の臨床心理学などで応用することができるかもしれません。また、ヤーキーズ・ドットソン、ヤーキス・ダドソン、様々な呼び方がありますので、YerkesとDadsonで覚えておくといいかもしれません。
今回は以上です。お疲れ様でした。