干渉説
interference
McGeoch, G. A. (1932)
ここでは、記憶の保持についての理論、干渉説について紹介していきます。
一度入力された情報は、新しく入力される情報が干渉してくることによって保持できなくなる、という考え方です。
まずは実験を紹介します。
〈実験〉
Jenkins & Dallenbach (1924)
単語リストの記憶の保持を、2群に分けて比較します。
①睡眠条件:まず単語リストを覚え、一定時間寝てもらいます。寝られなくても目を瞑って伏せてもらい、できる限り新しい情報が入らないようにします。その後、初めに覚えた単語リストを再生してもらいます。
②覚醒条件:①群同様、単語リストを覚えます。その後は寝るのではなく起きておいてもらいます。そして一定時間経過後、単語リストを再生してもらいます。
この2群で、経過時間と再生項目数にどれだけの差があるかで検討します。
結果
すごく雑なグラフで申し訳ないのですが、言いたいことが伝わりますでしょうか…
グラフの縦軸は、再生できたリストの個数です。横軸は時間です。記憶してから再生までに空けた時間です。
そのため、両条件とも時間をおくにつれて再生できた単語の数は減少していきます。
問題は条件間の、再生できた単語の数ですね。
結果は、睡眠条件>覚醒条件となりました。
この結果から、リスト記銘後の精神活動により記銘内容が干渉を受け、保持が抑制された、と考えられるのです。
干渉の型
次に干渉について、二つの型を紹介します。
干渉は、どのタイミングで干渉が起きるのかによって、逆向抑制と順向抑制に分けられます。
逆向抑制(RI)
Retroactive inhibition
まず逆向抑制とは、あることを覚えた後に干渉が起こることによって、忘れてしまう、という流れです。
今回紹介した実験がまさにこのパターンに当てはまります。
順向抑制(PI)
Proactive inhibition
こちらのタイプは、のちに干渉してしまうような情報を覚えた後に、覚えたい事柄を記憶しても、覚えにくくなる、といったパターンです。
例えば、小さい頃の知り合いの“田中さん”が、結婚で名前が“鈴木さん”に変わっても、鈴木さんであることをなかなか覚えられない、みたいな感じです。
簡単に図でまとめてみましたので、見てみてください。☟
それでは干渉説については以上です。
その他の記憶についての理論は、『記憶』という記事から飛べるようにしておりますので是非参考にされて下さい。
お疲れ様でした。