隠蔽
overshadowing
Pavlov
今回は「隠蔽」についてお話しします。
この記事は学習心理学をある程度習っている人向けの用語解説になります。
オペラント条件づけやレスポンデント条件づけについての知識がない方はまずはそちらを理解してからの方が分かりやすいかもしれません。徐々に更新していきますので、参考にされてください。
それではさっそく本題に移ります。
隠蔽とは、パブロフの犬で有名なパブロフが発見した現象です。
レスポンデント条件づけの応用と考えていただいて構いません。
この現象と似たようなものとして阻止(ブロッキング現象)というものがありますが、それも別に『阻止』という記事で扱う予定ですので合わせて参考にしてみてください。
隠蔽とは、条件刺激(CS)①と条件刺激(CS)②の複合刺激を条件刺激として条件づけを行ったとき、どちらの刺激も十分に無条件刺激(US)との対呈示の機会があったにもかかわらず、どちらかの刺激がもう片方の刺激よりも強い条件反応を誘発する現象のことです。
抽象的で分かりづらいと思うので、CSを音♪と光⚡を例にグラフに表しました。
光と音をそれぞれ条件づけすると学習がしっかりと成立するにもかかわらず、光と音を同時に条件づけするとどちらか一方がより強く条件づけされることです。
この図では光を強く条件づけしたと書いていますが、逆でも同じです。
ここでのポイントは複合刺激で条件づけしたという点です。光と音の条件づけの機会が等しく与えられたにもかかわらず、学習に差が出ることを隠蔽と言います。
ちなみに。阻止(ブロッキング現象)は、初めは片方の刺激、その刺激の学習が成立した後に異なる刺激を対呈示しても、その後の刺激はなかなか条件づけが成立しない、またはされにくい、という現象ですので、初めから複合刺激を提示している点が隠蔽とは異なります。
隠蔽については、阻止と逆の意味で択一で問われたりすることが多いので、しっかりと区別しておく必要があります。