演繹的推論
deductive reasoning
今回のテーマは重要です。
- 定義
- 四枚カード問題
この二つについてお話しします。
定義
まずは定義です。演繹的推論についてたくさん定義がありますが、言いたいことはみんな似たようなものです。
ここでは二つの定義を挙げておきますね。
「一つ以上の前提から、論理的規則に従って結論を導くこと」
「一般的な命題から個別の事例を推論すること」
ということができます。記述ではすらすら書けるようになっておかなればならない内容ですね。
演繹的推論についてポイントを二つあげます。
・推論の正しい方法があり、その方法にきちんと従えば、必ず正しい答えに辿りつくことができる。つまり推論の仕方以外の知識が不要。
・思考研究の中核
この二つです。
推論方法さえ知っていれば、だれでも機械的に正確な答えを出すことが可能である、とされていたんです。
ところが人間が実際に推論することには、自らの持っている知識と必ずしも無関係に推論しているのではないことが明らかになってきたそうです。
近年では人間の思考の特徴を明らかにするための材料として、演繹的推論課題を用いる研究が行われています。
そこで有名な「四枚カード問題」について紹介します。
四枚カード問題
これはWasonによって考案されました。
Wason’s selection task と呼ばれています。
ではこの問題の紹介です。
並べられた4枚のカードの片面にはアルファベット1文字、裏面には数字が1文字ずつ書かれています。
これから述べる規則が正しいかどうかを確認するのに必要なカードはどれかを答える問題です。
規則:片面の文字がDのカードの裏面は3
一緒に考えてみてください。答えは分かりましたか?
ちなみに、この問題の正答率は4~5%らしいです。
他のカードの選択率は多い順に Dと3→46%、Dのみ→33%、Dと3と7→7%、その他10%となりました。
ちなみに正解はDと7。いかがですか?
この問題は難しく感じる方も多いと思いますが、規則を未成年の飲酒禁止、カード内容を酒、ジュース、成人、未成年に置き換えて考えてみてください。
そうするだけで、この問題の構造は全く変わらないのに、正答率が9割ほどまでに上昇するそうです。
これは主題性効果と呼ばれています。この効果を説明する理論として実用論的スキーマ説が支持されていますが、詳しく知りたい人は調べてみてください。是非「許可スキーマ」という用語もまとめて調べてみてください。
この問題に正解できない理由として、3つ挙げることができます。
- 普段人は規範的な論理のルールを使っていないため。
- 仮説を支持する証拠だけを集めようとする傾向があるため。(確証バイアス)
- 条件文に示された項目と対応する事例を選択する傾向があるため。(マッチングバイアス)
これらが考えられる理由です。
ちなみに、マッチングバイアスについて、「条件文に示された項目」とはこの課題の場合はDと3に当たります。結果もDと3を選択する人が約半数弱いますね。
確証バイアスやマッチングバイアスについては、他の推論や推論の誤りなどで用いられたりもする概念で、頻出です。確実に理解しておきましょう。