検索失敗説
retrieval failure theory
今回は検索失敗説についてです。これは、エビングハウスの忘却曲線などの記憶の実験などで、思い出せない理由について提唱された説の一つです。認知理論では『のどまで出かかる現象』TOT現象と呼ばれたりもしています。対連合学習以外のパラダイムが多く用いられるようになってから見出された、連合理論で説明できない現象の一つです。
符号化特定性原理
encoding specificity principle ESP 提唱;Tulving
これはエピソード説とも呼ばれており、ある検索手がかりがターゲットの想起に有効であるためには、符号化時にその手掛かりがターゲット語とともに符号化されている必要がある、という考えです。記銘する際に、あわせて符号化された周辺の情報は、最盛時の効果的な検索手がかりになるという原理とも言えます。検索失敗説の根拠になるとされています。
簡単に言うと、どのような状況で記憶したのかが重要になるということです。手続き記憶を例に挙げると、テニスの練習で砂の運動場で練習をしていると、いきなりハードコートで試合をしてもうまく力が出し切れないこともあると思います。このように、どのような状況で記憶するかが、想起のタイミングに影響を及ぼすことが言われています。
⇒「知覚内容に対してなされた特定のコード化操作が貯蔵内容を決定する。その貯蔵内容は、どのような検索手がかりがその貯蔵内容へのアクセスに効果的であるかを決定する」とされ、この原理は、符号化及び検索時の文脈の一致性が想起(再生、再認)に影響を及ぼすことを示しています。
この原理と、『転移適切性処理』『文脈依存効果』は、言っていることは大体同じなため、文脈効果の説明としても使われている原理です。
以上で今回は終了です。他の記憶に関する記事も参照されて下さい。お疲れ様でした。