現在志向バイアス
今回はバイアスの種類の一つ、現在志向バイアスについてです。いきなりですが、例を使ってご説明します。ダイエットを決意したのに、我慢できずに食べてしまう。前日の夜に早起きを決意したのに、当日の朝二度寝をしてしまう。といったところでしょうか。要するに、現在志向バイアスとは、目前のこととなると、将来の大きな利益よりも目前の小さな利益を選ぶ傾向を示します。
実験
時間による選考の逆転実験をご紹介します。
問1:A:1週間後1万1千円もらう
B:今、一万円もらう
問2:C:1年1週間後1万1千円もらう
D:1年後1万円もらう
⇒問1ではBが選好されやすく、問2ではCが選好されやすい傾向があります。目前のこととなると、将来の大きな利益よりも目前の小さな利益を選ぶ傾向(衝動性)を示すことがわかります。
遠い将来のことであれば、報酬の多い選択肢の価値が高いのですが、目前のことになると利益は少なくとも今すぐ入手できる選択肢の価値が高くなります。これを、時間的非整合性、選好の逆転、と呼びます。

当初は選択肢Bの価値を高く見積もりますが、時間経過により、tを境にSの価値を高く見積もるようになります。これを双曲型の価値割引曲線で表したものが上の図になります。これを相極的割引モデルと呼んでいます。
未来が割り引かれる理由について、いくつかあります。
・今受け取れば、1千円少なくとも、今その価値を経験できる。
・1年後は不確実だから、本当に受け取れるかわからない。
・1万円獲得の機会の延期は損失と捉えるため、損失回避行動として今1万円を選ぶ。
・他、特に日本人は真ん中を選びたがる習性がある。
これらの理由が考えられています。
以上で今回は終了です。バイアスに関しては複数の種類があり、試験によく出る内容ですので、しっかり把握しておきましょう。お疲れさまでした。