移行学習
ケンドラー夫妻(Kendler,H.H. & T.S.)
今回は学習心理学の一つ、移行学習についてです。
簡単に言うと、移行の含まれる弁別学習のことです。
人の学習は言語を用いることが多く、このことが学習の仕方、形態に影響することを示した学習です。
弁別学習が言語媒介によって行われるとしました。
では移行学習についての実験を紹介します。
〈実験〉
1.原学習:「大きさ」と「色」の2次元を組み合わせた図形を用いて、ある特定の要因を選ぶ学習をさせる。
例:「大きさ」「色」
2.逆転移行学習、非逆転移行学習:原学習と異なる要因を学習させる。
逆転移行学習では同一次元内、非逆転移行学習では異次元間で、再学習させる。
例:逆転移行学習:「大きさ」「色」
非逆転移行学習:「黒」「白」
3.移行学習のそれぞれの成績を比較。
図に表すとこんな感じです。↓
結果
このプロセスで実験を行いましたが、実験参加者として、ネズミ、年少児、年長児、大人の4群に分かれています。
実験参加者の群によって、移行学習の成績が分かれました。
・ネズミと年少児は、非逆転移行学習の方が易しい
・大人と年長児は、逆転移行学習の方が易しい
このような結果に分かれました。
ここからいえるのは、①言語発達が未熟な年少児やネズミは、知覚重視の学習が得意であること、②大人や4,5歳以降の言語が発達してきた年長児は、暗黙のうちに言語を用いているため同一次元内の学習が易しくなる、という考察がされています。
この結果から、人の学習は言語を用いることが多く、このことが学習の仕方や形態に影響していると示された実験となりました。
以上で移行学習については終わりです。
逆転移行学習、非逆転移行学習について、しっかり区別できれば、それほど難しくはないと思いますので、しっかりと抑えておくといいと思います。