アナロジー(類推)
(analogy)
今回はアナロジーについてです。
- 定義
- プロセス
- 有名なアナロジーの例題(要塞問題)
この順でお話していこうと思います。
定義
まずアナロジーの定義です。
広義では帰納的推論に含まれます。
『未知の問題解決のために、既知の類似した問題解決方法、経験を利用すること』です。
事象AとBに類似性がある時、事象A持つ性質を、事象Bも持っている、と推論すること、ともいえます。
プロセス
アナロジーは大体4過程から成ります。
- 現在の問題(ターゲット)解決のために、過去の類似した経験を検索する。
- 想起した過去の類似経験(ベース)からターゲットへ知識の対応付け(写像)を行う。そしてその両者の特徴や構造を結びつける。
- 対応付けた結果を評価
- ベースとターゲットに共通する関係、パターン、ルールなどの特徴など、帰納を通して、抽象的知識を獲得し、学習する。
この4ステップで行われます。
有名なアナロジーの例題
ここでは、アナロジーを利用して課題を解決する有名な例題について紹介します。
この例題は、試験でも頻出なため、しっかりと記述できるように抑えておくことをお勧めします。
例題は、要塞問題と言われ、要塞問題をベースとし、ターゲットとなる問題に答えさせるという過程です。
<実験>
ジックとホリオーク (Gick&Holyoak)による実験です。
- 要塞問題を含むいくつかの文章を実験参加者に読ませる
- ターゲットとなる放射線問題を読ませる。
- 「要塞問題がヒントになる」と伝える群と伝えない群に分ける
- 群ごとの正答率を算出
この流れで実験が行われました。
詳しく説明していきます。
まず要塞問題の内容について、要約して記載します。
ある小国を攻め落とすために、少人数に分かれて、周囲から一斉に攻撃しました。
すると攻め落とすことに成功しました。
すごく手短に要約するとこんな感じの内容です。
ここではこの戦法を「分散して攻撃する戦法」と名付けましょう。ちょっとそのまますぎますが(笑)
次にターゲット問題(放射線問題)の要約を紹介します。
大きい腫瘍に放射線を当てすぎると体に悪く、当てるのが弱いと効き目がない。
こんな時この腫瘍をどのようにして治療するのが望ましいか?
こんな感じの問題です。
このターゲット問題の答えは、要塞問題がヒントになる、と伝える群と伝えない群に分けます。
結果
要塞問題がヒントになると伝えた群→正答率92%
伝えなかった群→正答率20%
このような結果になりました。
この結果をアナロジーのプロセスを応用して考えてみると、ヒントを伝えられなかった群は、プロセスの第一段階から過去の類似経験を想起することができていないために、正答率が低くなったと考えられます。
この実験は、要塞問題と腫瘍問題の類似性が発見できるかできないかで答えられるかどうかが決まってくるということですね。
今回の記事はここまでです。今回の類推の記事は自分の思考回路に当てはめ易いテーマだったのではないでしょうか。
今回に出てきた「帰納的推論」については、また別で『帰納的推論』という記事を書くつもりです。もしよかったらそちらも参考にしてみてください。