カテゴリー化
今回はカテゴリー化。
意味は名前通り。「カテゴリに当てはめて対象を認知するプロセス」のことです。
ここでは、カテゴリ化に関連する効果と実験を紹介していきます。
まずはカテゴリ化に伴う特徴を紹介します。
- 強調化効果
- 対比効果
- 同化効果
- 内集団—外集団効果
これらがカテゴリ化の特徴として挙げられますが、この中から強調化効果、内集団—外集団効果について詳しく見ていこうと思います。
強調化効果
accentuation effect ( Tajifel & Wilkes ,1963)
この効果は、カテゴリに分類された対象は、過度にカテゴリの特徴が強調されて知覚される、という効果です。
この効果についての実験としては、1988年にHoggとAbramsが実験を行っています。日本人や様々な国の人で印象などのアンケートを取ります。今回は身長を例に挙げてみます。↓
この絵のように、実際は、日本人でも外国人でも、小さい人も大きい人もいます。ですが、日本人とカテゴリ化されると、日本人はみんな身長が低い、と知覚され、外国人はみんな身長が高い、と知覚される傾向にあります。
このように、実際よりも個人が無視され、極端に知覚されてしまうことが分かります。
内集団—外集団効果
次に内集団—外集団効果ですが、これは他に様々な呼ばれ方がされます。
内集団びいき ingroup favorism
内集団バイアス ingroup bias
集団間バイアス intergroup bias
それぞれ根本的な理論は同じなのですが、強調したい内容が異なる、と思っていただければいいです。
内集団びいき:内集団をポジティブに評価する傾向
内集団バイアス:外集団をネガティブに評価する傾向
集団間バイアス:内集団と外集団の差を拡大する傾向
これらは、根本的な理論は同じなので、言いたいことは同じです。
集団間バイアスの中には、更に外集団同質性効果(outgroup homogeneity)があります。
外集団同質性効果
これは、集団間バイアスを、特に外集団の性格特徴について言う場合として名付けられた効果です。外集団成員に対しては、個人を単位として記憶することがしにくく、その集団が持つ属性の集合の形式で記憶されやすいようです。
例えば、仲の良いグループの友達は個性があるように感じるけど、自分の属していないグループの人のことは、”大人しい人たち”、といったようにひとまとめに捉えてしまうことがこれに当てはまりますね。日本人は~~だけど、アメリカ人は~~といった、国民性でも反映されることが多いように思います。まあこれは筆者の主観ですが。
〈実験〉
それではいきなりですが、これらのような集団の関係に起こるバイアスについての有名な実験を紹介します。
最小条件集団実験 Tajfel 他
集団間差別が生じる必要条件と十分条件を確かめるための実験です。関連しそうな要因をすべて排除して、必要最小限の集団状況を設定します。
・カテゴリ化の条件を最小にして集団を二つ作ります。
・任意のメンバーを、個室に呼び出します。
・そのメンバーに、それぞれ所属集団を知らせたうえで、分配マトリクスに従って各集団のメンバーに報酬を配分してもらいます。
結果
自分と同じ集団に属しているというだけで、自分の利益とは関係ないにもかかわらず、同集団に利益が出るような選択をしました。
ここから、『ある集団にカテゴリ化される』⇒集団の一員として自己の再認識が起こります。
従って、最小条件集団で集団間差別が見られたということは、集団の一員としての意識が、集団間差別の生起にって重要な意味を持つことが分かります。
少しここで試験向きのお話です。
試験でよく出る課題として、『集団間差別をなくすための取り組みとして、心理学的見地から述べよ』みたいなのがあります。それについて詳しくはしませんが、大体こんな感じの記述問題が出てきたら、参考にできる理論をいくつか紹介しておきますね。
・接触仮説 Allport :ご飯を食べる等、接触の機会があれば集団間の差別はなくなるという理論
※これは実験によって、単なる接触機会の増加だけでは、差別はなくならず、接触の種類によっては、より悪化することもあることが分かっています。
・目標葛藤理論 Sherif :集団間の葛藤をなくすには、多集団同士が協力しなければ達成できないような、『上位目標』を設定することが有効だとする理論
・脱カテゴリー化、交差カテゴリー化 Brewer & Miller :詳しくは脱カテゴリー化、交差カテゴリー化のページへどうぞ!
これらについては今回の記事では特に詳細には扱わないので、詳しく知りたい方はそれぞれ調べてみてください。
今回は以上です。お疲れ様でした。